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Re: もう一つ質問させてください。

投稿者 長谷川千尋 日時 2000 年 10 月 20 日 21:24:42

回答先: もう一つ質問させてください。 投稿者 典子 日時 2000 年 10 月 12 日 20:26:52

>>話が始めに戻ってしまうのですが、ブリッジになったそもそもは奥の歯(神経
>>なくかぶせものをしていた。)が痛み動揺していて、「歯槽膿漏だよ。」と先
>>生が削ると「割れてる。」とつぶやいていました。
>> その後、何の説明もなく、そのまま半分抜いてしまったのです。
>>先生は「腐っていた、でも半分は骨も大丈夫だから残してブリッジにする。」
>>と、ブリッジにするのも相談なく決めてしまいました。
>>「腐る」とはいったいどういうことなのでしょうか。

 治療行為自体は妥当なところだと思います。

 問題は、手を付ける前に、或いは手を付けても予定外の事態があった
場合にその時点で典子さんによく説明をしなければならなかったと思い
ます。
 歯が動揺していたので、またレントゲンで骨吸収があって、最初は歯
槽膿漏と思ったのでしょう。ところが割れていたのでそれによる歯の動
揺と骨吸収ということが分かったのでしょう。
 歯槽膿漏で歯を削るのは、動揺してくると浮いてきて余計に動揺して
歯槽膿漏を助長してしまうので、適度な噛み合わせにするために削るの
です。冠や詰め物がある歯の場合、それを取らないといけないこともあ
り、削っていったら詰め物の下で「腐って」いて、弱って割れていた…
と言ったところでしょう。

 腐ったようにぐちゃぐちゃした状態に見えますが、要は虫歯が広がっ
ていたと言うことです。虫歯が広がり歯が脆弱になり破折してしまった
と推測されます。

>>半分とってしまう他、選択肢はなかったのでしょうか。

 歯が割れていた場合、最悪は抜歯です。半分どころかその歯全部を抜
去することもあり得ます。
 しかし、割れ方によって、一部は持たないとしても他方がある程度の
長さというか大きさが残りうる場合、差し歯や冠を入れるのに耐えうる
と診断できた場合、それを利用するわけです。

 前歯などで、歯の根に達していない時に、破片をそのまま接着したり
することもあります。
 破折が根に達していても、一旦抜歯して外で破片を接着して再び植え
ると言ったような技術も紹介されてはいます。

 破折が歯の根に達している場合は、やはり片方ないしその歯全部を抜
歯するのが無難です。接着も何例かやってみましたが、また割れたりし
てうまく行きませんでした。苦労して残しても「治したのにまた悪くな
った」と思われてはかないませんので、確率が低いことはあまり頻繁に
は出来ません。

 半分残すことも、実は、早期にやり直す可能性がないとは言えません。
同じように噛むのですから、負担は以前のように掛かります。多少歯を
小さくしたりして加減はしますが、半分になってから以前のように力を
受けていると早く弱ることも少しは頭に入れておく必要があります。

>>根は治療をして残して、そこに土台になるものを埋め込み、もう半分の歯とくっ
>>つけて土台にしてかぶせることとかできなかったのでしょうか。

 下の大臼歯で、歯が2つになってもぐらついていなくて、残った歯の大
きさが差し歯に耐えうるだけあれば、土台を埋めて繋ぐことが出来る場合
があります。
 しかし、動揺が許容範囲以上であれば無理です。
 
>> 長谷川先生にこんなことを言ってもお困りかと思ったのですが、
>>今はできるだけ歯を残す治療がされているということを本で読み、
>>半分といえども抜かれブリッジにされ、憤りがなかなかおさまりません

 その先生をかばうわけではありませんが、半分抜歯したこと自体、な
るだけ歯を残す治療をしていると言っても良いでしょう。
 
>>治療する前に目を通せばよかったのですが、本屋で歯の本を読むと、今は歯槽膿
>>漏でも歯を抜くことなく直せる、

 歯槽膿漏を治し、歯を保つのは、歯科医や歯科衛生士の努力もさるこ
とながら、患者さんの努力も相当必要です。繰り返し指導をし、そのよ
うに家庭でも頑張ってもらう必要があります。
 歯科医不足の時代は、虫歯の対応に精一杯で、時間のかかる歯槽膿漏
の治療を十分することが出来ませんでした。また、早く被せて治療を終
わって欲しいという意識が患者さんに強く(今も結構多い)、ある程度
進行した歯槽膿漏は、抜歯していたのでしょう。
 そのような時代と比べると、今は努力して残そうとしていますよ…と
いうことではないかと思います。

 しかし、その方のブラッシング状態や、免疫力、歯茎・歯槽骨の質等
により、かなり進んでしまったものは抜歯も致し方ありません。
 すべて残して治せると言っているのではありません。
 ただし、若いときから努力すれば、年齢を重ねてもすべての歯を残す
ことも可能でしょう。

>>とか、神経をぬくのはよくない、とかブリッジ
>>をすると土台の歯が痛むなどと、ショックなことばかり書いてあり、一層落ち込
>>んでいます。

全く手を付けていない歯と比べれば、やむを得なかったとは言え、削
った歯の方が人生という長い年月の間では、先に悪くなる可能性はある
と思われます。
 しかし、昔被せた歯がずっと持っていて、あとで虫歯になった歯を先
に抜歯…ということも長く臨床をやっていると少なからず経験します。
 若いときから病気がちだった人が先に死ぬわけではないのです。元気
満々だった人が働き盛りで病死したりもします。
 身体の一部もそれと同じです。

 また、インプラントを強力に奨める歯科医の中には、やたらブリッジ
を非難して、歯を削らない(でも骨に穴を開ける)のでインプラントが
非常に優れているとばかり本で書いている歯科医もいます。

 もちろんインプラントも非常に有用です。
 でもすべての患者さんが、一部でも何十万もかかるインプラントを入
れられるわけではないし、インプラントが100%成功するのでもない
し(100%に近いとは言えますが)、骨が少なくてインプラントが無
理な方は骨を増やす手術をするかあるいは結局無理でブリッジになった
りしますし、何が何でも従来の方法を避難するばかりの歯科医の本は
(読まれた本がそうだとは言っていません)すこし注意して読んで、す
べて鵜呑みにはしないようにして欲しいと思います。

 一般向けに書かれた本を読んだりするとき、これは有用だと思うもの
もあれば、こんなその人だけの主義主張を勝手に書かれては人を惑わす
…と思われる作者もいます。

 と、私が今書いたことも、他の歯科医が見れば、少しおかしいことも
ある…ということもあるかも知れません。
 途中の説明も、実際に診て言っているのではありませんので、書かれ
たことからの推測であり意見ですので、鵜呑みにはしないようにして下
さい。

                    ∞健康な歯で幸せも噛みしめて∞
                       はせがわ歯科医院
                        長谷川 千尋♂
                    愛知県海部郡甚目寺町森下田室58-1
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